ライセンスビジネスの基礎

(3)ライセンスに携わる人々

 ライセンシング業界には、大規模なエンターテイメント・スタジオから、ある1つのライセンス・プロダクツをマーケティングする個人経営者まで、様々な企業が含まれます。いずれにせよ、ライセンシングに携わる団体はいくつかのカテゴリーに分類することができます。

 上記は、ライセンシングに携わる人々の関係性を図解したものです。この図解によって、ライセンシング・ビジネスの構造が理解しやすくなります。
 これは非常に簡略化された図解で、詳しい解説ではありません。例えば、どのライセンシング・プロセスの下請けも、この中のいくつかの団体によって行われる場合があります。このコミュニケーション組織の中に、いくつものつながりがあることが、ライセンシング・プロセスを複雑にしているのです。

 ライセンシングの関係者には、それぞれ果たすべき役割が決められています。ライセンシングの団体間で結ばれる契約は全て、その特性において他に類を見ないものです。それぞれの役割がある程度変化することさえあります。

ライセンサー

 企業がプロパティを使用するためにライセンスを認めるのには、いくつもの理由があります。ライセンスが上手く機能するためには、ライセンス・プロパティは著作権や商標権などで保護できるものでなくてはなりません。そうでなければ、ライセンシーが利用することはできないのです。このような知的所有権は、ライセンサーが確実にプロパティの販売促進に投資し、資産の利益を獲得することを保証するものなのです。商標や版権の登録により、ライセンサーはライセンシングにおいて、その独自性やプロパティの形態を維持するため、法的に保護されることになります。(Revoyr, 1995, p.14)
 ライセンサーはライセンシー用のスタイルブックを作ることで、プロパティのデザインやイメージを生み出し、保持しています。スタイルブックは、ライセンシーがライセンサーの監視のもと、許可を受けた商標もしくは版権を正しく使用するガイドラインとして役立っています。
 適切なライセンシーが選出されると、ライセンサーの次の任務は、プロダクトの承認です。ライセンサーはそれぞれのライセンシーによって提案されたプロダクトのサンプル全てを承認しなくてはなりません。この入念な承認のプロセスはライセンシーにとっても有利です。なぜなら、ライセンス・プロダクトの全体的なイメージが良くなればなるほど、よりライセンス・プロダクトの販売を活性化するプロパティとなりうるからです。(Raugust, 1995, p.73)

 おそらく、ライセンサーがライセンスを認める最も一般的な理由とは、ほとんど労力や危険をともなわず、実利的な利益を増やせる魅力からでしょう。ライセンシングは、資本準備や人材に大きな投資をせずとも、リスクが少なく利益の多い方法で市場に参入できます。そのため、ライセンサーの数がますます増えているのです。ブランド・ロイヤルティは需要の予測と保証を提供し、他社が安易に市場に参入することを防いでいます。その意味でも、ライセンシングは競合優位を確保する協力な手段であるといえます。(Raugust, 1995, p.5)
 ライセンサーには、ライセンシーの販売や事業に満足できなかった場合は契約を更新しないオプションと同様に、マーチャンダイジング、特にマーケティングの専門家を提供する権利があります。ライセンシングによって、ライセンサーは全く新しいプロダクトラインの展開にともなう多くの危険を避けることができます。実際、そのリスクはライセンシーが負うことになるからです。(Raugust, 1995. p.5) 
 しかしライセンサーにとっても、危険が全くないわけではありません。最も危険なのは、ライセンサーが最終的なライセンス・プロダクトを上手く管理できないことです。それによって、ライセンス・プロパティに多大な被害が及ぶようになります。ディスカウント・ストアで売られているプロダクトがブランドのイメージを損ねたり、質の悪いライセンス・グッズがそれまでは高水準とされていたブランド名を傷つけることもあります。極端な場合、その危険が全て発生し、商標権そのものを失うこともあり得るのです。(Raugust, 1995, pp.13-14)

ライセンシー

 ライセンシーは商品に利用するため、あるプロパティの権利をリースしますが、従来、所有権は共有しません。
 しかし、ライセンシングは数々の有力な役割を果たします。あるイメージを作り上げることで、ライセンス・プロダクトは消費者の関心、店への愛着や忠誠を生みます。そして最も重要なのは、正当なライセンスを持つことで、ライセンシーはそれまで参入できなかったマーケットに、ついに足を踏み入れることができるのです。(Raugust, 1995, p.11) 
 リサーチやプロダクトの開発に何千万、何十億とかけることを思えば、ライセンシーにとってロイヤルティはライセンスがもたらす大きな飛躍の代償としては安いものなのです。あるプロパティに投資することは、ライセンシーのプロダクトに独自のつながりと意味を与え、他のプロダクトとは一線を画すことができます。プロダクトに独自のつながりを持たせることで、メーカーは独自のプロダクト・イメージを作ることができます。それが高値のマージンを生み、販売量を増やし、多額の利益を得ることにつながるのです。(Raugust, 1995, p.12)

 スタイル・ガイドやメーカーに事前に指定されたプロダクト・デザインを現実化することは、ライセンシーの責任です。しかしライセンシーはライセンス・プロダクトの販売も手がけます。プロパティは他のルートでの販売も認めているのに関わらず、たいていライセンシーは、非ライセンス・プロダクトも同様に購入する同じ小売業者にライセンス商品を販売します。(Raugust, 1995,p.12)
 プロダクトをマーケティングする責任は両者にあるのが一般的です。ライセンサーはブランド・イメージ強化のため消費者に宣伝することはもちろん、どこにライセンス商品があるのかを小売業者に知らせるために市場に向けての宣伝も行います。しかし、単独もしくは他のプロダクト・ラインと合わせてプロダクトを宣伝し市場に出すこともまた、ライセンシーの責任なのです。(Raugust, 1996, p.57)

 ライセンシーがライセンシング・プログラムで直面する危険の数は、ライセンサーに比べれば少ないですが、規模的には大きい場合もあります。
 代表的なものとしては、財政上の危険があります。例えば最低限のロイヤルティ支払いを保証しなければならないといったライセンサーに対する契約上の義務によるものです。この場合、ライセンシーはライセンサーに対して、市場にはたどりつかなかったプロダクトについてさえ、最低限のロイヤルティを保証しなくてはならないのです。
 また、もしプロダクトが市場に出されたとしても、メーカーがどのプロパティを選ぶに関わらず、そのプロダクトが成功をおさめるかどうか、全く確証がないのです。(Raugust, 1996, pp.14-16)

他の団体

 一般的にライセンシング・ビジネスでは、あるプロパティやライセンス・プロダクトに経済的もしくは消費者としての関わりを持つ場合、何らかの形でライセンシングに影響を与えているとして、「他の団体」という分野に属します。(Raugust, 1996, p.53)
 これから、「ライセンシング・エージェント」「ライセンシング・コンサルタント」「メディア」「消費者」という4つの最も重要な関係者について述べていきます。

 ライセンサーにとっては、ライセンシング・プログラムを管理するために、ライセンシング・エージェントを雇うのはよくあることです。エージェントはライセンサーのために、契約の交渉やプロダクトの承認過程などを代行します。その代わり、ライセンサーはロイヤルティ総収益の一部を、報償としてエージェントに支払うのです。ライセンサーにとってライセンシング・エージェントを雇う利点は、エージェントが提供する専門知識にあります。特に、業界に接点を持つエージェントを雇うことは、駆け出しのライセンサーには大変役立ちます。(Raugust, 1995, p.20)

 一方メーカーは、ライセンシング・エージェントと似たような役割を果たすライセンシング・コンサルタントを雇用します。
 ライセンシング・コンサルタントの役目は、ライセンシングに広く関わりを持ちながら、社内にその専門の従業員がいないメーカーをサポートすることです。ライセンシング活動において、メーカーを代表するのがコンサルタントの責任であり、プロパティの評価やその有効性あるいは開発のチェック、ライセンシング戦略の実施などを行います。 ライセンシング・コンサルタントの報償額は様々ですが、その大部分は請け負う任務を規準として支払われます。

 息の長いプロパティを作るためには、そのプロパティに対する消費者の意識を長期間維持することだと言われます。そのために最も重要なのがメディアの存在です。ライセンサー、ライセンシー両者が狙いとする相手に意図したメッセージを伝えるために、様々な種類のメディアが利用されます。プロパティの種類、ライセンシーやライセンサーの目的、利用されるメディアの種類によって、そのメッセージの伝達方法は異なります。(Raugust, 1996,p.70)
 とりわけ、ライセンス・プロダクトの開発には、狙った相手に正しいメッセージを送り、理解してもらうためにも、様々なメディアを使う必要があります。新しいプロダクトにはコンセプトを伝えるデモンストレーションが欠かせず、それはメディアの組み合わせを選ぶ際、重要な鍵ともなるのです。つまり、消費者意識の形成とライセンス商品の販売を活性化するためにも、メディアの支援は不可欠だと言えます。(Raugust, 1996, p.70)

 経済的観点から見ると、消費者にとってライセンシングのメリットは、調査にかかる費用が減るということです。なぜなら消費者は、ライセンス・プロダクトを簡単に見分けることができ、プロダクトを選ぶ際、様々な他の意見や加工された情報にとらわれることないからです。(Keller, 1998, p.7)
 それでもなお、ライセンス商品に対する消費者の知識は明らかに増加しています。消費者が好みのプロパティを基にしたライセンス・プロダクトにいまだ関心を寄せているにも関わらず、もはやライセンス化された目玉商品ではプロダクトの個性を打ち出すことができないのです。
 消費者に商品を買わせるには、プロダクト自体に質的なあるいは少なくとも流行る価値がなくてはなりません。結果的には、それが消費者が購入を決める最後の判断基準となるのです。(Raugust, 1996, p.40)

 要するに、ライセンシングはどの関係者にも役立ち利益があるため、より一層広まるようになったと言えます。

The following is an abstract of a Diploma Thesis written by Sabina Gockel at Johannes Gutenberg-Universitaet Mainz at the Department of Applied Linguistics and Cultural Sciences in Germersheim in the year of 1999/2000, supervised by Prof. Dr. Karl-Heinz Stoll and Dr. Donald Kiraly and appears here by express permission of the author. As such it falls under our copyright and may not be copied, reprinted or sold in any fashion without the permission of LIMA.

 ライセンスビジネスの基礎
 (1) ライセンスビジネス:その基礎と歴史的背景
 (2)米国におけるライセンシングの歴史
 (3)ライセンスに携わる人々
 (4)ライセンシングの種類
 (5)マーケティング・コミュニケーションの役割
 (6)国際ライセンスビジネス

 

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