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LIMAボトムライン2004年冬号
LIMA'S Bottom Line Winter 2004


ライセンシングと音楽産業・・・
マット・ハウトウ氏へのインタビュー
 
ヴァイスプレジデント / ライセンシング・マーケティング / シグネチャーズ・ネットワーク
(インタビュワー : LIMA/ジェニファー・シーロフ)

−最近の音楽産業の現状は、マージンの縮小、マーケットの縮小、もしくはその両方だと思われますか?

 他のあらゆる産業と同じ様に、音楽産業も不況ではありますが、それはインターネットでの音楽のダウンロードによって打撃を受けたことが第一に挙げられるでしょう。これは音楽産業において、本当に大きな問題です。ポップスが爆発的な人気であった1999年には、発売開始後1週間でCDの売上が100万枚に達したバンドがありました。しかし今日では、もうそのような数字は目にすることがありません。例えば、Clay Aikenのファーストアルバムは発売開始1週間で60万枚の売上でしたが、最近ではこの数字は非常に良いものと考えられています。2001年には、'N SYNCのレコード付きアルバムが、発売開始1週間で230万枚の売上に達しました。マーケットにおいて25%の落ち込みはかなり厳しいものです。

−それでは、問題はマーケットが縮小しているということですか?

 音楽産業は、消費者が音楽をダウンロードすることで痛手を負っています。また、ファンの人たちはそうすることがあたかも権利かのように行っています。当然、各レーベルは生産量を少なくしていますから、彼等のマージンも下がらざるを得ないわけです。なんとかしようと、彼らは宣伝を増大しました。TVでかつてない程、たくさんのアルバムが宣伝されているのを見たのは初めてのことです。今日では、以前と同じ数のアルバムを販売する為に、音楽レーベルはマーケティングにより多くの費用をかけなければならないのです。その結果として、彼等のマージンは縮小しています。これは音楽産業にとって、本当に厳しいことであり、またアーティストにとっても厳しい状況になりつつあるのです。有名ではないアーティストは常にレコードの売上に左右されますが、もはやそうとも限りません。ですから、音楽のライセンシングは、そのようなアーティストにとってますます魅力的で、重要なものとなってきているのです。

―それでは、このことがビジネス契約にどのような影響を与えているとお考えですか?

 アーティストは自らのツアー費用を負担しています。その結果、彼らは稼ぐことが出来ますが、そのアーティストのレーベルは稼ぎがないということになります。最近は、ツアーにかかる費用負担を軽減する為、スポンサーを見つけるアーティストが増えてきています。以前でしたら、これは「アーティスティック」なことではありませんでしたが、今日ではアーティストもツアーでロスを出している余裕はないのです。

―そうすると、ツアーにはこの低迷による影響はそれほどない、ということですか?

 ツアーは常に、音楽産業におけるアーティストにとって主な収益源であり、依然として堅実なままです。大きなイベントは現在も上手くいっています。これは弊社Signatures Networkにとって素晴らしいことで、というのは、我々は非常に成功しているツアーの商品を扱っており、またそれがアーティストが自らの権利を利用する方法でもあるからなのです。基本的に、我々はまずアーティストからマスターライセンシング、及びマーチャンダイジングの権利を買い取り、あらゆる手段を投じて、ツアー商品の売上を含む投資分を取り戻すことが出来るのです。

―音楽産業の収益のうち、何パーセントがライセンシングによるものなのでしょうか?

 難しい質問ですね。というのは、音楽会社はアルバムを販売していますが、アーティストは自らを売り出し、自分たちのあらゆる権利を保持しています。彼らは別のカテゴリーに属するため、共に作業をするという事はあまりないのです。売れる商品に変更するアーティストやバンドはほとんどいない、ということは言えます。例えば、エアロスミスはKISSのやり方に変えたりはしません。KISSはライセンシングをうまく活用しています。成功しているアーティストやバンドが稼ぐ方法は、ツアー(チケットセールス、ツアー商品)、アルバムセールス、ライセンシング、そしてCM出演と、4種類あります。

―その4つの全てで成功している人は?

 ブリトニー・スピアーズは、この4つの方法全てで成功していますね。彼女は本当にあらゆるものを用いています。KISSはものすごい数のツアーを行っており、CMでも非常に成功していますし、素晴らしいライセンシングプログラムを持ってはいますが、以前ほどアルバムの売上がありません。メタリカは、ファンへの感謝を込めた商品ラインで非常に上手くいっています。

―それでは、今後私たちはますます「ブランドとしてのバンド」を目にするようになるのでしょうか?

 彼らが(そして我々も)それを成し遂げられると言えれば、私のビジネスにとっては最高ですね。しかし、そのチャンスは限られています。好運にも成功しているアーティストを獲得できれば、それは素晴らしいビジネスとなります。一部のアーティストは、ジェニファー・ロペスのようなブランドへとなり得る能力を持っています。ジェニファー・ロペスのイメージとファッションは非常にマッチしており、彼女への親近感がある、と彼女自身信じているのです。彼女はその価値に目を向けているので、プロフェッショナルを雇い、力のあるブランドに創り上げ、ファッション業界の有力ブランドと張り合っています。彼女は、規則の例外ではありますがね。ほとんどのアーティストは自分たちがやること(音楽やパフォーマンス)は自ら上手くやっておりますが、自らをブランドとすることにおいて最高の方法で資金を活用出来ていないことに気付いている者もいます。

―マドンナがそのようなことをしないのは何故ですか?

 彼女が出始めた頃は、時代が異なっていました。その頃からだいぶ変化しています。マドンナは音楽やツアーを通して彼女自身を前面に出しており、洋服などは扱いませんでした。我々は長いこと彼女と仕事をしてきて、チャンスもあったのですが、彼女は何をやって、何をやらないか非常に明確に考えを持っているのです。

―他にはどのような人がこのようなことを出来るでしょうか?

 我々は現在、ビーチ・ボーイズのライフスタイルブランドを立ち上げる準備をしています。彼らは間違いなくブランド価値があります。実際の彼らよりも、彼等の歌の方がよく知られています。多くの曲を作っていることでも有名ですが、彼等の音楽は特にベビーブーム世代の人々に、戦後、60年代以前の、のどかで景気の良い時代にあった子供の頃−彼等の音楽を通じて甦る素朴な時代−を思い出させるのです。そこで、我々はそういったエッセンスを取り入れ、ベビーブーム世代の心をひきつけるブランドプランを開発しました。友人と一緒にビーチにいるようなイメージを持ちながらも、バンドの印象を汚さないよう戦略的に終わるというものです。これは今後、音楽のライセンシング方法のモデルとなり得るでしょう。

―収益の減少を補う為に、音楽産業はどのようなことをしていこうとしていますか?今後、アーティストは、プロモーションツールとしてライセンシングを活用することが少なくなり、収益を生み出すものとしてよりライセンシングを活用していくのでしょうか?

 各レーベルは、収益を増やそうとより積極的になろうとしてはいますが、あくまでも権利はアーティストのものです。今後、レーベルと我々のような企業が音楽やライセンシングプログラムを理にかなう方法で活用する際、より協力していくことになるでしょう。これはメリットであり、我々のセールス拡大に役立つものとなり得るでしょう。

―それでは、今後レーベルはアーティストの権利により関わろうとしているのでしょうか?

 そのような動きはいくつかあります。我々の最大の競合企業はイギリスのあるレーベルのものとなり、いくつかの大きなマネジメント企業がライセンシングを始めているのを目にしています。皆、さまざまな方法を見つけ出していますが、どの産業にも存在する専門的要素があります。実績があり、ライセンシングに着手し始めた人たちがやるよりずっと上手く出来る我々のような企業を雇う価値に、人々は徐々に気付くのです。

―音楽産業は収益を拡大し、現在のトレンドを覆すため、インターネット業務をどのように実施していくかという方法を見つけられるのでしょうか?もしくは、すでに知られているように、インターネットはレコーディング産業の終わりを意味するようになるのでしょうか?

 彼らは(方法を)見つけなければなりません。選択の余地はないのです。彼らはそれを無視するという重大なミスをおかしましたから。良いニュースと言えば、第三者(Apple)の音楽産業での成功ですね。Appleは、ヘビーユーザーと調和し、収益をあげる方法を整えました。"iPod"のようなすばらしい商品は、見た目も性能も良く、消費者が音楽をダウンロードしている場所へ行く際の手段となっています。彼らは合法的により多くの音楽をダウンロードしようと、Appleのサイトへと向かいます。もし選ぶとすれば、ほとんどの人は車の後ろでステレオを売っている男性からではなく、素直に商品を購入したいと思うだろう、と私は信じています。消費者が欲しい商品を簡単に見つけられ、お手ごろな価格で買うことが出来る場所を提供すれば、消費者は買いに来るでしょう。Appleはこれを実行しているのです。

―エンターテインメント産業に対して、この音楽のダウンロード問題はどのような前兆であると思いますか?

 大きな違いは、エンターテインメント企業はこの問題を無視していないということです。すでにこの問題に立ち向かっていますが、労力が増えるし、音楽業界から学んでいるので、自分たちには同じことが起きないで欲しいと思っているのです。ですから、エンターテインメント産業の人たちはこの問題を中心に取扱い、映画の予告編では『ダウンロード禁止』という文字を目にするようになっています。彼等はキャンペーンで、ダウンローディングをメインに取扱っており、より個人的なレベルでも呼びかけています。ダウンロードをされてしまうと、私も仕事がなくなる者のひとりなので、ダウンロードしないでくださいね。

―このキャンペーンは効果的だと思いますか?

 もちろんです。合法的なものを望んでいる人がほとんどですから、一度盗みであるということを知り、自覚すれば、二度とダウンロードはしないでしょう。お店に入って、盗みをするというのはしないでしょう。

―流通や販売店という点に関しては、今後のレコーディング産業にとってのモデルはどのようなものだとお考えですか? MusiclandsやSam Goodysは生き残るでしょうか?

 そうですね、これは当然のことですが、ショッピングは別に何も買わなくてもショッピングです。タワーレコードなどは、本当のコアミュージックファンをターゲットにしていますよね。タワーレコードでは、お客様の店内滞在時間は平均48分です。インターネットのお陰で、店頭に行く頻度はある程度変化してきています。また、小売店の合併により、小規模な店が競い合い、もうけを得ることが厳しくなっていますが、彼らはより個別のサービスを提供し、より多様な楽曲のセレクションを提供しています。多くの人々がまだそのようなサービスを望んでいますので、インターネットが完全に他をつぶすということはないでしょう。

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