グレゴリー・J・バターズビー氏は、コネチカット州スタンフォードにある法律事務所「グリムズ&バターズビー」の創立者の一人である。バターズビー氏は所有権に関する幅広い知識を持つ弁護士で、ライセンシングの専門家である。ライセンシングに関する共著も多く、LIMAの顧問を務めている。
斬新な玩具デザインのマーケティングや商品化において、発明家がたどらなければならない道のりについては、すでにいろいろと文章化されてきました。玩具メーカーとの交渉過程では、ある発明家に肩入れすることで商品にかなりの偏りが生じやすいものです。玩具メーカーは全ての交渉権を持ち、個人の感情によって左右される組織と評されがちです。その傾向が必ずしも全ての状況に当てはまるとは限りませんが、現実には、大手メーカーのために、多くの中小企業がしのぎを削り、玩具業界にその名を馳せる商品の登場を待ち望んでいます。発明家同様、そのような中小メーカーは成功する商品を探し求める先々で出くわす多くの危険や落とし穴に注意を払わなければなりません。さらに、玩具発明家が忘れることのないように付け加えますが、全ての重要なライセンシーの存在なくして、ライセンサーが正当性を欠く、悪質なライセンシーから集めた巨大な額のロイヤルティ料を得ることはできないのです。
玩具ビジネスに多少なりとも関わってきたメーカーなら、発明家と企業の間で頻繁に交わされる玩具ライセンス契約、商品化ライセンス契約、海外生産契約といった様々な契約にも慣れていくことでしょう。大手メーカーの多くは、発明家や他メーカーとの独自の契約に力を注いできました。それは、メーカーへの敬意と新商品開発に対する企業独自の関心を考慮してのことです。
発明家と玩具メーカーとで交わされる契約は、たいてい2つに分類することができます。「ライセンス」と「譲渡」です。ライセンス契約は、発明家が発明品に関する全ての知的所有権(著作権、特許、商標権など)を保持することを希望し、メーカーに新商品の生産と市場での売買を認める場合に交わされます。一方譲渡契約は、発明品に関する全ての知的所有権をメーカーに譲り渡すことになります。両者で交わされる契約においては、ライセンス契約の方がはるかに一般的です。ライセンス契約では、自分のアイデアに関する権利を保持したいとする発明家の意向と、所有権を支払うことなく製品を開発するという企業の希望とが考慮さているからです。
さらにそのライセンス契約は、「独占的」なものと「非独占的」なものとに二分されます。独占的なライセンス契約では、一つの玩具メーカーに決められた分野で一定の期間新商品を開発できる権利を与えます。非独占的な契約でも、メーカーは新商品の開発権利を得ることができますが、他メーカーにも同様の権利が与えられる場合があります。競合する他社が増えるごとに市場の可能性が狭まることを考えれば、玩具メーカーにとって独占的契約が好ましいことは明らかです。
ライセンシー/メーカーは、サブライセンスの権利を取得するべきかどうか検討することがあるでしょう。多国籍メーカーならば、国際的なライセンスとしてその認可の幅を広げる必要が生じることもありえます。一方、国内の小規模なメーカーは、そうせざるおえない状況にあるかもしれません。もし玩具メーカーが、ある分野には投資できないと感じたり、新商品の開発そのものを望まない場合、他社にその業務を引き受けて欲しいと考えることでしょう。しかし、そのような権利を認めようとするライセンサーはほとんどいません。ライセンサーが重要視しているのは、サブライセンシー商品の質や、それに伴う決算報告の正確さだからです。ライセンシーはライセンサーに、ライセンサーがライセンシーに持っているのと同じ権利をサブライセンサーに対しても認めることで、ライセンサーの不安を緩和する配慮をするべきなのです。
ライセンスの期間もまた、ライセンス契約を起草し、交渉する際に玩具メーカーが考慮すべき重要な点です。せめて開発経費を取り戻すまでの期間はその製品を管理することがわからないまま、新しい製品のアイデアを開発する危険性を肩代わりするのは、企業にとってはばかばかしいことです。理想では、玩具メーカーは、製品に対してその商品価値が続く限り独占権を所有することを望んでいます。従って、ほとんどの発明契約は不特定の期間で結ばれ、玩具メーカーがプロパティを使用する限りライセンスを認めています。
ここで触れたことは、玩具メーカーが発明家とのライセンス契約に入る前に熟慮すべきポイントのほんの何項目かにすぎません。新しい製品デザインの所有者とライセンス契約を起草し、交渉する際、ライセンシーが考慮すべき点は以下のようになります。
- ライセンシーのビジネス展開を考慮したライセンス契約の実現可能性
- 理知的に行われる違反行為。ライセンサーがしない場合はライセンシーが違
反者を追求することを認めること
- 監査や査察規定が過度に煩わしくないこと
- 十分に立証されている限り、値引きや返品の許可を制限しない
- 販売が採算割れの場合は、ライセンシーによる防止やロイヤルティは発生しない
- あるアクションに対してライセンサーの承認を得るための合理的なプロセス
- ライセンサーのライセンス代表権が確かな補償金を伴っていること
- ライセンス契約が独占的である場合は、その正当性があること
- ライセンサーの支援契約は、法的強制力がなくてはならない
- ライセンサーに不履行が生じたときのロイヤルティ比率、期間調整の保証
もちろん、どのライセンス契約においても、肝心なことは競合する意図を持った2つの関係者に絡むどのような状況でも、交渉されることは双方の交渉力に委ねられているということです。