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LIMAボトムライン2001年冬号
LIMA'S Bottom Line winter 2001
おもちゃがやって来た
by クリストファー・バーン(玩具研究家)

 

「ザ・トイ・ガイ」でも知られるクリストファー・バーンは、20年以上に渡って、玩具産業について研究執筆を続けてきた。最近『ザ・トイ・レポート』を編集した彼は、『トイ・ウイッシズ』と『ザ・トイ・ブック』の補助編集者でもある。

 

 現代の玩具業界がライセンシングに動かされているという事に、疑問を持つ人はいないだろう。しかし、それを大まかに言及することは、様々なかたちをとる産業の進化と、ライセンサーとライセンシーに向けられた挑戦と機会を不明瞭にする恐れがある。

 玩具メーカーと小売業者が「アメリカン・インターナショナル・トーイ・フェア」へ向けて準備している中、このビジネスは20世紀初頭から長い道のりを歩んできたことを思うと感慨深い。当時まだ駆け出しのアメリカ玩具業界は、ヨーロッパから玩具を買い付けていたバイヤーの気を引こうと躍起になっていたものだ。その頃ライセンシングは全く認知されておらず、キャラクターの絵姿(例えば1905年に出た「ザ・イエロー・キッド」のような新聞連載漫画のキャラクター)やコカ・コーラといったコーポレート・ロゴの入れた商品は、販売促進用アイテムとして捉えられていた。趣味よく客を迎えるための客間に、だれが広告を飾りたいというのか?

 しかし、「ママ」としゃべる人形が驚くべき革新だった1896年だろうが、あるいは、精密なコンピューターチップと回路で生命を与えられた人形がしゃべる2001年だろうが、玩具が常に時代を反映するという状況に変わりはない。

 そしてここに、現代のライセンシング・ビジネス、とりわけ玩具部門にとって頭の痛い事がある。散財するメディア・マーケットや、小売りの流れの変化、そして新しいプロパティーやブランドを確立することの難しさと言ったことは、前から取りざたされていた。
 大衆文化に関しては、アメリカが文字通り主流であることを誇っていたアイゼンハワーの時代(1950年代)は遠い昔であり、今日は多様化の時代である。同時に、メディアにより増加しつつある販売の機会、(玩具産業がターゲット年齢を絞り込んだことによる)子供向けライフスタイル商品の隆盛、テクノロジーの統合、玩具におけるコーポレイト・ブランド、小売り業の変化といった理由で、ライセンシングは製品開発と販売促進の点で今まで以上に戦略を必要とすることになった。
  かつて映画やテレビ番組は、どの家庭、どの会社でも人々の話題に上る文化現象になり得た。このような事は今日珍しい。たとえポケモンやハリー・ポッターがライセンシーとライセンサーにとって大ヒットとなっても、ヒットしたものやヒットしそうなものに投資するだけでは、実際的継続的なビジネスモデルとはならない。
  最近「ホットな」プロパティーの元を調べてみると、それらは文学、ビデオゲーム、テレビ出身である。マーケットは気まぐれで流行に左右されやすいので、ヒットを予見する能力はまったく頼りにならない。

 玩具業界を窮屈にしているもう一つの変化は、製品の性質そのものである。テクノロジーが玩具に多く取り入れられるほど(例えば現在、幼児玩具のおよそ60パーセントはコンピューター・チップを組み込んでいる)、玩具ビジネスは家電部門のようになってきている。より多く、より新しく、より早く求める消費者要求に応えるべく、開発サイクルを早め、商品生命を縮め傾向にあるのだ。

 ではどうすれば玩具業界はうまく行くの? 何が有効か?  多くの場合、成功はプロパティー次第である。依然として多くの小売り業と製造業の専門家たちが、口をそろえていかなる企画においても、良い製品こそ最も重要な要素だと語る。例えば、1999年にポケモン図鑑製品で巨額の成功を収めたタイガー・エレクトロニクス社は、2001年にはハリー・ポッター製品とディズニーの新作映画『アトランティス』からの製品を含むライン拡張を行っている。マーケティング担当副社長のドン・ポラネク氏は、ポケモンもハリー・ポッターも、豊かな情報とゲームを通じて、子供たちがプロパティーとインタラクティブに遊べる玩具であると説明している。子供たちは、彼らがテレビで観た一部の目立つキャラクターとだけ遊ぶだろうとの見方が強まっている。
 子供たちの共感を勝ちうるのは、キャラクターの世界へ参加させてくれる製品なのである。

 子供向けアニメ製作販売会社であるネルヴァナ社の世界販売担当業務執行副社長、シド・カウフマンは以下のように説明している。「我々はそれぞれの企画を個別に調べる。プロパティー別、テリトリー別にマーケティングと戦略を分析した後、ライセンシーや小売業者との関係や販売促進の良い方法を模索する」
 このようなアプローチで製品の実際的価値を確かめ、見かけ倒しの商品企画を避けることができる。

 もちろん、目標は力を持ち続ける一連の商品を創り上げること、新しさで勝負の市場を変えることである。
  業界専門家たちは、セサミストリートやブルース・クルーズ(両方ともアメリカで人気の子供向けテレビショー)と共にパワーレンジャーを取り上げ、製品を新鮮に保ち、あらゆる年齢の子供たちにも繋がりを持てる力を賞賛している。
  プロパティーは時代を超えることによりブランドへと成長する可能性を得る。子供と親がそのブランドに固有の価値と体験を見い出すことにより、製品は何年も安定したセールスを続けるのだ。これはエンタテイメント・ブランドのみでなく、スポーツやコーポレイト・ブランドにも言えることであり、こうしたブランドは玩具業界に大いに貢献できる。NASCAR(National Association for Stock Car Auto Racing, 全米自動車競争協会)とレースしたいと思う子供たちにエキサイティングな体験を与え、レスラー・チャンピオンになったり、有名なBMXのバイク・ライダーであるライアン・ニクエストになることさえ可能となるのだ。

 もう一つ注目すべきはコーブランディングの盛り上がりである。2000年のコーブランディング製品で最も成功した例として、フィッシャープライス社とマイクロソフト社の共同開発による「インテリテーブル」が挙げられる。玩具とテクノロジーの両リーディングブランドが、おのおのの技術と消費者のブランドイメージを合わせて、画期的な製品を創り上げた。コーブランディングは食品部門で成功を収めてきた戦術であり、玩具においてはより深い形で浸透しそうである。
 最終的に、産業における変化は小売業界に変化をもたらす。特に、エンタテイメント・プロパティーについては、全ゆる種類の小売りが「ブティック」製品となる。従ってハリー・ポッター、アトランティス、ジュラシック・パーク3、モンスターズ・インクの製品は、カテゴリーごとのお店をまわらないでもまとめて買うことができる。少なくとも、映画のプレミアで売られているような主要商品は全てそうだ。

 しかしながら、おそらく、玩具ライセンシングにおける最もエキサイティングな変化といえば、玩具が全プロパティーにたいして負う役割であろう。玩具製品は、ショーに占める比率を増やしたり、製品の寿命を延ばしたり、恒常的な売り上げを生んだりできることを証明してきた。例えば、機関車トーマスのように今やクラシックとなっているプロパティーを使って、中心となるキャラクターを絞り込む必要無しに全種類の製品が作る。こういった力が戦略的創造的に行使されたとき、玩具ライセンシングは成長したと言ってもいいのではないだろうか。 

         

 

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