| 目次へ | 
LIMAボトムライン 2001年秋冬号
LIMA'S Bottom Line fall-winter 2001
ニューヨーク裁判所の介入でミニマム・ロイヤルティーを回収
by チャールズ・クレイン(弁護士、ダヴィドフ&マリトLLP事務所)

 

 ライセンサーなら、ライセンシーがライセンス契約で定められたミニマム・ロイヤルティーを支払わないという事態に直面する事は珍しくない。こういった事態はライセンサーの独占条項の違反といったライセンサーの契約違反によることもあるが、ライセンシー独自の責任といった場合も少なくない。例えば、(a)ライセンシーの契約失敗。そのプロパティーが保証した金額より高いミニマム・ロイヤルティーに同意してしまった場合。 (b)ライセンシーがプロパティーで質の悪いものを作ってしまった場合。 (c) 単純にライセンシーが経済的危機に陥ってしまった場合、などである。

 最近ニューヨーク郡の最高裁判所で或る判決と命令が下された。少なくともニューヨーク州においては、この判決は支払いを行わないライセンシーからミニマム・ロイヤルティーを回収するライセンサーにとり大変有利なものだ。この訴訟に於いて、裁判所は我々のクライアントであるライセンサーに、審議のための時間や費用もかからない短縮判決で、被害にあった契約期間に増加したミニマム・ロイヤルティーの総額621,562ドル50セントと、クライアントが本訴訟間に被ることになった弁護士料、それに年利18パーセントを合計したものの支払いをライセンシーに命じた。法廷はまた、ライセンシーの申し立てを全て却下し、ライセンサーの契約違反を弁護した。この訴訟はファッション・ライセンスに関するものであるが、討論された原則は全てのライセンス契約に当てはまるものである。

裁判所の決定を裏付ける指針は以下の通りである: ライセンシーはライセンサーの契約違反への申し立てを根拠にミニマム・ロイヤルティーの支払いを拒否しながら、ライセンス契約の利益を享受し続けることはできない。ライセンサーが本当に契約を違反している場合にライセンシーがミニマム・ロイヤルティーの支払い義務を放棄したいと望むのならば、ライセンシーはライセンス契約を終結させて、違反を働いているライセンサーを訴えなければならない。

事実
 この訴訟において、ライセンサーは高級な商標(ここでは「XYZ」とする)と、よりグレードの低い商標(「ABC」とする)を保有するセーターの卸売り業者であった。

 1977年の3月、ライセンサーはライセンシーにABC商標の権利を譲渡するライセンス契約を結んだ。契約期間は2000年12月31日までとし、以下の三つの商品カテゴリーに関する権利をカヴァーした: (1)メンズ・セーター (2)メンズの糸折り及びニットのシャツ (3)メンズのパンツ、ショーツ、アウター、スポーツコート。

 実収益に対する指定されたパーセンテージ・ロイヤルティーに加え、ライセンシーはABCセーターとシャツ製品のカテゴリーのそれぞれに対してミニマム・ロイヤルティーを支払うことに同意した。

 ライセンサーはライセンス契約の一部として、ライセンシーのABC製品に「優位性のある価格で」製品販売を行わないことに同意した。

 1998年には、ライセンシーの売上はその年のためにミニマム・ロイヤルティーを設定した売上である6,500,000ドルを上回った。しかし1999年(ライセンシーがライセンス契約を遵守しなかったとしてライセンサーを訴える年)に、売上は4,000,000ドル以上も落ち込み3,000,000ドルに満たない結果となった。これはミニマム・ロイヤルティーの設定売上8,775,000ドルを6,000,000ドルも下回った額である。この売上の急落には幾つかの理由があった。ライセンシーはその取引のほぼ6割を占めていた最大得意先J.C.ペニー社を失った。シャツを含む殆どの製品カテゴリーを放棄したことも理由の一つだ。最後に、製品の56パーセント以上を値下げ価格で販売したことが上げられる。

 1999年の秋、ライセンシーは自社で生産しないことにしたABCシャツに適用されるミニマム・ロイヤルティーの削減を願い出た。ライセンサーはその要求を断った。売上の減少と、それに対する巨額のミニマム・ロイヤルティーに直面したライセンシーは、ロイヤルティーを支払わないための口実を探した。

 2000年1月、ライセンシーはライセンシーに対し、彼らが「XYZセーターをABCセーターに優位性のある価格で販売していること」と告発するレターを出した。そのライセンシーがライセンサーに契約違反を指摘したのはこれが初めてであった。

 しかし、ライセンシーはABCライセンスを放棄することはせず、ライセンサーにライセンス契約を確約するレターを送った: そのレターでライセンシーは優位価格に関する条項を違反したのであることを理由にミニマム・ロイヤルティーを払わないと主張し、代わりに実際の売上に基づいたロイヤルティーを払う事を申し出た。

 2000年2月、ライセンサーはライセンシーに1999年第4期分に該当するミニマム・ロイヤルティー、すなわち2000年1月30日の時点で109,687ドル50セントを請求するレターを送った。ライセンシーが前述のロイヤルティーを支払わないでいると、ライセンサーは更に2000年1年間のミニマム・ロイヤルティー総額511,875ドルに、未払いの1999年第4期分のミニマム・ロイヤルティーを合わせた、総額621,562ドル50セントを請求してきた。ライセンシーはこの請求に対し何ら支払いを行わなかった。

訴訟
 2000年4月、私たちはライセンサーを代表して起訴に踏み切った。ライセンサーは、未払い及び追加請求のミニマム・ロイヤルティー621,562ドル50セントと、年利18パーセントと、訴訟により生じた法務料金とコストの総額を求めた。ライセンシーはライセンサーの優位価格に関する条項違反を根拠にミニマム・ロイヤルティーを払う必要は無いと主張し、優位価格違反により生じた損害額を反訴しようとした。

裁定
 法廷は全ゆる面に渡って、ライセンサーを支持する裁定を下した:
「短縮判決は契約に基づくライセンシーの責任に関してライセンサーを支持する。ミニマム・ロイヤルティーの未払いにより、ライセンシーは契約書の取引条件を違反している。以下の事柄は明白である。
(1) ライセンシーはライセンス契約の下、1999年第4期のミニマム・ロイヤルティーを支払う義務がある
(2) ライセンシーは前述の支払いを履行できず、ライセンサーからそれに対する指摘を受けても即刻違反を正すことができなかった。
(3)ライセンシーの違反を正さなかた事に対し、ライセンサーはライセンス契約に従って、ミニマム・ロイヤルティー残額全てを追加できる。
(4)ゆえにライセンス契約の明示条件により、ライセンサーはミニマム・ロイヤルティーの621,562ドル50セントと、利息、弁護料とコストを請求できるものである・・・

 ・・・〔ライセンシーの〕・・・この申し立てに対する唯一の抗弁は・・・1999年、ライセンサーが製品をライセンシーのABC製品に「優位性のある価格」で製品販売を行ったことにより・・・補足ライセンス契約を違反した点にある・・・

 しかし、ライセンシーの申し立ては法の立場からは却下される。ライセンシーがライセンサーの補足ライセンス契約違反を証明できるとしても・・・ライセンシーがライセンス契約の下でABCライセンスを放棄しなかったことは明白である。

 むしろ、ライセンシーはライセンスを活用し・・・申し立ての後もそのライセンスから利益を上げ続け、訴訟係争中に2000年12月31日期限のライセンス契約を延長しようとさえしていた。ニューヨーク州法のもと、ライセンス契約に従ってきたライセンシーは、その契約に基づき全ての支払い義務を遂行することを求められる。その支払いとは、ライセンサーが〔契約を〕破ろうと破るまいと、ミニマム・ロイヤルティーの全額を含む・・・

 こうしてライセンサーは未払いのミニマム・ロイヤルティーの621,562ドル50セントと、利息、弁護料とコストを受け取ることとなり、支払い義務の取り消しを求めたライセンシーの反訴は却下された」

教訓
 この決定はライセンサーとライセンシーに重要な教訓を与えてくれる。

ライセンサーへの教訓
  支払いを怠るライセンシーから有効な解決を得られないライセンサーは、上記の訴訟のごとく即刻法的措置に訴えるべきである。ライセンシーがミニマム・ロイヤルティーを支払わないのにライセンスを保持しようとするなら、ライセンサーに好意的な短縮判決により未払いのミニマム・ロイヤルティーを回収できる。ライセンシーがミニマム・ロイヤルティーを払わずにライセンスを保持し続ける場合、裁判所はライセンシーの抗弁と控訴を放棄させるだろう。

 ここで問題となっているライセンス契約は、少々例外的に、或る有利な条項を含んでいた。ライセンシーが即刻未払いを正さない場合は、ライセンサーは契約を終わらずにミニマム・ロイヤルティーを加算して良いことになっていたのだ。一般のライセンス契約では、そのような加算を許されるのは契約を終結させてからである。ここでのライセンシーは契約期間内でのライセンスド商標の衣料を許可されていたので、加算ロイヤルティーが契約終結後に払うべきかということは議論されず、そのために裁判所が関与しないペナルティーが設定されたのだ。

 本訴訟最後の教訓は、ライセンサーは不払い利率とライセンサーが勝訴した際の弁護料の回収金額をライセンス契約に必ず入れておくべきということである。

ライセンシーへの教訓
 上記の判決により、ライセンシーはミニマム・ロイヤルティーの支払い同意にはことさら注意深くなるべきだろう。本決定が及ぶ範囲では、ライセンシーはライセンス契約を反古にし、裁判所がそのライセンサーの違反が契約終結を正当化すると判決しない限り、同意されたミニマム・ロイヤルティーを支払うことを求められる。


チャールズ・クレインはダヴィドフ&マリトLLP事務所所属の弁護士です。ダヴィドフは40人の弁護士を抱えるマンハッタンのミッドタウンに位置する法律事務所であり、彼はライセンシング関係を専門としています。彼の連絡先は以下の通りです。

電話:212−557−7200 ファクス:212−286−1884
eメール nft@dmlegal.com

 

ページトップ

| 目次へ |


Copyright (C) 2001 LIMA Japan. All Rights Reserved.