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LIMAボトムライン 2001年秋冬号
LIMA'S Bottom Line fall-winter 2001

エンタテイメント・ライセンシング事情

 ライセンシング・プロセス、とりわけエンタテイメント・プロパティーにおけるプロセスが変わってきていることは、誰の目にも明白です。これはライセンシーとライセンサーの間で、ここ2年間大きな波紋を呼んだことの一つです。そこでボトムライン編集部は、業界で大活躍する4人にお集まりいただき、この変化しつつある産業の状態についてお話いただきました。

 ご参加いただいたのは、スペンサー・ギフツ社のライセンシング担当副社長ベス・シュランスキー氏、マーヴェル・エンタープライズ社消費者製品・販売促進・メディアセールス担当上席副社長のラス・ブラウン氏、ソニー・ピクチャーズ社のマーケティング・顧客関係担当上席副社長のマイケル・ペイコフ氏、そしてマテル社少年向け玩具担当社長マット・ブースケット氏の4人の方々です。それぞれお持ちの洞察と知恵をご披露いただきました。

ボトムライン:映画ライセンシングと商品化の分野で、ここ数シーズンであなたがお気づきになった大きな変化とは何でしょうか? そのような変化をもたらした文化や市場における要素は何だとお考えですか?

ベス・シュランスキー:かつては映画プロパティーから収益を上げることは容易なことでした。今日ではロゴやタレントを製品に入れるだけでは小売りセールスは成り立ちません。また全ての映画が魅力的な商品を創り出せるとは限りません。優れた鑑識眼でライセンス事業向けの映画を選ばなくてはいけません。ターゲットの購買層を理解し、彼らの注意を引くようなマーケティングと商品化を作り上げることです。その映画のスピリットをしっかり押さえるた、クリエイティヴで斬新でユニークな商品をデザインすることも大切です。顧客はライセンスド製品を好んで支持してくれますが、典型的ライセンシングにもはや新味はありません。

ラス・ブラウン:私たちが見てきた中で一番はっきりした変化は、買い手の抵抗と言いますか、混乱です。これはイベント記念プロパティー、古典プロパティー(それと古典を目指すプロパティー)、世界中からもたらされる新しいプロパティー、そしてライセンシングに参入してくる文字通り全てのブランドによる、選択肢過多に起因します。こうした変化を映画の上映期間短縮と重ね合わせて考えると、機会は更に縮小したことになります。初日からアクションを起こさないと、永久にチャンスは来ないのです。

マイケル・ペイコフ:わたしの居るソニー・ピクチャーズについてまず言いますと、私たちは、小売業者とライセンシーの両者に影響を与える文化と市場の要素を見てきました。彼らはいままでこういったイベントのタイトルへ期待をもって努力してきました。今日の販売はもっと難しい状況にあります。今までに無く懐疑論がはびこり、マネージメントを誤れば、映画ライセンシングは短命で苦しむことになります。私たちがしてきたこと、アル・オヴァディアが作り上げたのは、劇場公開やホームビデオ公開からのプロパティーのライセンシングを手がける戦略です。革新的であり続けること、映画の生命のために存在し続けることは、ひいてはライセンシーのためにもなります。競争相手に対抗して、18から24ヶ月間かけるプロパティー計画を立てることも同様です。私たちは「ライセンシー中心」を標榜しており、最終的に勝ちぬけると信じています。

マット・ブースケット:興行開始週末動員数はハリウッドが自己採点するためのスコアとなり、どのくらい劇場公開が続くかを見極める要素となりました。私たちは商品が長く売上を伸ばすことを期待しなくなりまりました。

ボトムライン:エンタテイメント・プロパティーをブランドとして育て上げ、商品化したいと希望している企業の話を編集部ではたびたび耳にしています。あるプロパティーがブランドとして成立しうる潜在力を持つか、それとも商品化による収益が見込まれた単なる販促的イベントなのかということを見極める際、プロパティー自体やそれのマーケティングのどういった要素に注目しますか?

ブースケット:マテル社のエンタテイメント担当セクションが私の部門の管轄になった時、私たちは一連の厳しい戦略規準を自らに課しました。マテルはブランド設立の力で名高く、投資するエンタテイメント・プロパティーにそうした潜在力があるかを判断します。私たちは下記の規準に照らして、全ての新しくエキサイティングな関係を評価します。

(i)長期にわたり続くブランドが開発できるだけの蓋然性があるか?
(j)そのプロパティーは世界的にアピールできるか?
(k) それは現存するブランドと相性が合うか、それは私たちにとって良いライセンスなのか?
(l)価格は適正か? 換言すれば、利益の上限と下限を設定する価格アレンジが良くなければだめだ。

ペイコフ:この世の全てのものをブランドと呼ぶ向きが続いている。ソニーでは、ブランドという言葉は禁句です。結局それらはフランチャイズだと考えると、何でもブランド呼ばわりするのプロパティーや業界において正しいこととは思えません。私たちが「スチュアート・リトル」を長期フランチャイズにしようとしているのは、それが50年間も生き続けてきたプロパティーだからです。私たちがきちんとしたマーケティングをし、私たちに力量があるなら、それはものになるでしょう。でもブランドがブランドになるのは結局は消費者次第です。

ブラウン:我が社の場合、実際「スーパー・ヒーロー」のプロパティーは全て何十年も市場に出まわっている事実ゆえにブランドとみなされるのです。私たちはメディア・イベントに注意を払います。新しいテレビショー、劇場公開、私たちのコミック事業、ライセンシング・プログラムもです。ブランドを存続させその価値を高める刺激となるからです。

ボトムライン:多くのライセンシーがライセンス・プログラムの成功を示唆する映画と契約を取り交わしてきたのですが、現在そうした契約の質の高さや商品化におけるパートナーシップが忘れ去られていると言う声を多く耳にします。皆さんはそう思われますか? 今日の市場における良質な映画ライセンス契約に必要な本質的要素は何だとお考えでしょう?

ブラウン:プロパティーのための戦略があるかも知れませんが、私たちの多くは仕事がくれば受けてしまう、これが実際のところです。より少ないライセンシーでビジネスの多くを引き受けてもらい、そこからより大きな収益を得たいというのが人情です。しかし一方で、私たちは企業努力を最大に活かし、望ましくはその結果として収入を得るために、ライセンスされた各製品を個別に評価することが大切です。
  良い映画ライセンスの最も重要な要素はストーリーです。粗悪なストーリーにギャラの高いタレントを使っても、出来の良いストーリーには(見込まれるライセンシング収益同様興行収入が)かなわないということに映画製作会社は気づきました。またライセンサーの実用的な考えも大事です。全てのプロパティーがいつもホームランを打てるという訳ではありませんし、そうでなければならないということもありません。シングルでもダブルスでも試合に勝って、関係者全員のリスクを減らして最小にし、ライセンサーを良く見せることです。

ブースケット:私に言わせれば、おもちゃ作りを楽しむことですね! 私たちの価値判断基準に加えて、長持ちするプレイパターンと遊びとしての価値が高い優れた玩具を創り出すことは肝要なのです。子供たちは私たちが単なる記念品ではなく、魔法のような面白い玩具を作ってくれることを望んでいます。私たちが子供たちに影響力を持っているのはその期待のお陰なのです。

ペイコフ:スパイダーマンでもバットマンでも、数え切れないほどのライセンシング・プログラムに関わっているプロパティーを見て下さい。それらは数多くのカテテゴリーに関係している豪華な映画です。だからこそマルチ・カテゴリーのアプローチが可能なのです。『グリーン・デスティニー』のような比較的小さな映画は、素早いマネージメントが必要なプロパティーだとされます。このような映画は100ものライセンシーを持つプロパティーと一緒というわけには行きませんが、利益回収が可能なプログラムを上手く適用することができます。
  規模はどうあれ、私たちのプログラムを作り上げる時には私たちはカテゴリー・リーダーを探しだして、彼らとディスカッションし続けます。スケールが大きい映画は、多くのライセンシーを持たざるを得ないと思います。私たちにとって大切なのは公正さです。もし彼らが騙されたと感じてしまうと、怒り傷ついた彼らは良い製品を市場に出そうとしなくなるでしょう。私たちが一番望むのは、ライセンシーに優しい映画製作会社となることであり、それは実現しつつあると思います。

ボトムライン:もし映画ライセンシング・プロセスのある要素を変えられるとしたら−−小売りでも、製品開発、プロモーション、どの部門でもですが−−あなたならどこを変えるでしょう?

ブラウン:思い通りにならないのですが、公開日にぴったり間に合うことができるようになると理想ですね。実現は無理としても。これが実現すればライセンサーから小売業者やタイアップのパートナー、皆が安心できるでしょう。

ペイコフ:私たちが共に働くプロダクション自身が持つ期待を管理できたらいいと思います。どのプロデューサーもディレクターも、次の『ライオンキング』、次の大ヒットをとるのは自分だと思っています。彼らは商品プログラムにおける経済関係、つまり競争分野といった要素を見ていないのかも知れませんし、結局、脚本が良くないということもあります。彼らは自分たちの映画が大量の玩具を生みだすと信じているかも知れませんが、私たちはとてもいい玩具が倉庫に眠ってしまうのを見てきました。ですからプロダクションの側の期待を管理することは大切なのです。
  幸いなことに、ライセンシング許可はただロゴを入れるというレベルから成長してきました。今は消費者製品ビジネスやプロデューサーとディレクターはもっと有能になったと思います。大手小売業者を映画に合わせさせるということは、プロセスに携わる全ての人たちを教育する事を意味します。ことに玩具の開発に18ヶ月を要する時代には。
  変えることができない事の一つに、映画ライセンシングはかつて無いほど厳しい競争の中にいるという事実があります。そして小売業者はその恩恵に浴してきましたし、今はとりわけ金融上で関わっています。興行と商品化の両方を御するためにも、参加者全てのそうした成長を見守り続けたいと思います。

 

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