グローバル化へ−−アル・カーンとの対話
今日の子供向けエンタテイメントと玩具市場において、世界的な存在を創り上げる事は基本的な戦略である。しかしそれには難問も伴う。各企業が「次の大物」を見つけだす困難に立ち向かい、子供たちが常に次のメガ・ヒットを捜しているメディアやグローバル文化に晒されているという状況のもとで、タイミングと文化的差違、そしてプロパティーが盛衰するスピードがここ数年目立って重要性を帯びてきた。
世界規模でプロパティーを創り上げ運営することにおいて、フォー・キッズ・エンタテイメント社のチェアマン、アル・カーン以上の経験を持つ人物はライセンス業界でも希有である。彼は流星のごとく現れたポケモンを世界的ブームにまで盛り上げ、主要キャラクターへの成長を促した。それは中心カテゴリーの中でいまだ好セールスを上げている。例えばこの夏に発表された「ゲームボーイ・カラー」向けの「ポケモン・クリスタル」だ。
「しかし次に来るものを見つけようとするなら困難は付き物だ」とカーン氏は言う。彼はこの秋に有望な二つの新プロパティーを導入しようとしている−−「みんなのロボット、キュービックス」と「遊技王(Yu-Gi-Oh!)」である。両製品ともライセンシング・ショーで大きな興奮を呼び、テレビ番組「キッズ・WB!」での「キュービック」はの放映開始から高視聴率を得ている。
子供向けの有望エンタテイメント・プロパティーを創り上げるのに、カーンはディズニーのような古典的キャラクターや、セサミ・ストリート、ブルー・クルーズといった幼児向けプロパティーとは異なった問題と直面することになる。新しく出た「バット・アグリー・マーシャンズ」でも「パワーレンジャー」のような古典でも言えることだが、カーンが手がけるプロパティーは流行ものの色彩が強く、熾烈な競争と市場飽和の中で立ち上げそのものが以前より難しいのである。
「ポケモンの成功で仕事の雛形ができたことにより、かえって仕事がやりやすくなった」とカーン氏は語る。「自分で言うのも驚きだが、ポケモンの信じがたい成功のあとでさえ、我々はもっとうまくやれると信じている。重要な点は、世界に乗り出すと国家間の言葉や習慣の大きな違いに直面することだ。それに、EC発足により欧州内ならどこでも出荷可能となり、各国にとっての可能性が広がった」
こうした発言に加えて、カーンは語る。様々な国により構成される世界市場の中で生活様式やメディアの違いがある。だがその中で、あるレベルの一貫性を作りあげること、統一されたブランドとしての存在感を保持することが重要なのだ。その理由の一つに、様々な国々の子供文化はグローバルであり、子供たちは、ポケモンの場合のように、言語の違いに頓着せずお気に入りのキャラクター・サイトをネットで見つけて楽しむ事が多いからだ。「我々は名前を変えないようにしている」とカーンは語る。「もし英語名を世界ベースで使おうとすると、演出や実際のパッケージ各国に対応させて変えなければならなくなる」
カーンはまた、国ごとの事業立ち上げが最良の戦略だとも信じている。今日展開されているエンタテイメント・プロパティの要は、なんと言ってもテレビである。各国にあわせて調整された立ち上げこそ、グローバルな番組の基本要素だと彼は言う。細心の注意を払って、翻訳とローカラゼーションをしなければならない。戦略的な大量販売により市場を席巻する時期を選ぶことも大切だ。彼は冗談めかして指さす。「地図から適当な場所を選んでそこから出発するというわけにはいかないのだから。」番組は、その製品が市場に繋がりを持つための場所で放映されるのである。例えば欧州市場でのコーディネートが難しいのは、ECのルールにより加盟国内はどこでも製品が輸出されてしまうことである。もし製品が番組と関係ないタイミングで陳列されたならば、成功のための必要条件を失うこととなり、小売業者は退却を余儀なくされることになる。
しかしながら、どこで事業が開始されようと、カーンは今日のライセンシング業界の「常識」を否定はしない。つまり、全く新しいコンセプトを持ち出し、主要視聴者の心を掴み、結果的にヒットを生むマーケティングと商品の勢いを獲得するということは非常に難しいことなのだ。彼は「キュービックス」のデビュー成功に内心驚いたという。「キュービックス」の成功は、バーガーキングでの派手なプロモーションといったマーケティング戦略の賜である。−−めったに新しいテレビ・プロパティーを使用しないファーストフードでのこうした成功は初めてのことだ。
「次の新しいもの」は求められている。だが、無名プロパティーと提携することには常にリスクが伴う。この事実を認めるカーンは言う。「ライセンシング業界の殆どの人々は、放送人でも、小売りでも、ライセンシーでも、『未知数な何か』を求めているのだ。皮肉なことに現在その要求にかなうプロパティーは現れていない。」彼は更に、本当のヒットをとってきたプロパティーはデビュー前には無名だったのであり、なにか「未知数」を求める願望はエンタテイメント・ライセンス・ビジネスの弱点を補ってきたと指摘している。
グローバルな潜在能力を持つプロパティーを探し出すために、フォー・キッズ社は「非常に強力なプレイ・パターンと、発想の転換という二つの規準」をクリアするプロパティーを選別、育成することに集中してきた。彼は「キュービックス」を一例に挙げる。「我々は子供たちの間の根強いプレイ・パターンである『ロボット遊び』を取り上げ、その50年先を設定した」と彼は言う。「そして、それを以前では民放では不可能だったCGI
(Common Gateway Interface、共通ゲートウェイ・インタフェース)を使って行うのだ」
こうした発想の転換と成功の軌跡は、彼が示してきたプロパティーのための小売り配置を容易にした。「ラッキーだ。皆が求めているものを手に入って嬉しい」と彼は言う。「小売業者はライセンサーを見て、誰が信用できるかを判断して配置を決めると思う。ライセンサーが自分たちのやろうとしていることを示せば、小売業者は戻ってくるだろう。成功は成功の上に築かれ、失敗は問題なのだ。最近行った事業が小売業にとっての成功となったことは幸いなことだと思う。もし事がうまくいかなくても彼らは我々に返り咲くチャンスを与えてくれるだろう」
そしてカーンとフォー・キッズ社は進撃を続けるだろう。来年向けに既に用意されているのは「ウルトラマン」と「キン肉マン」である。古典的日本プロパティーは、今日の視聴者には新鮮に映るとカーンは言う。
これらのプロパティーは日本では名門であり、アメリカでも認知されている。これは世界向けデビューに有利な条件であろう。しかし保証は無いことをカーンは知っている。「このビジネスにおけるプレッシャーは、自分の選んだプロパティーが成功するかどうか分からないところだと思う。それがいつ露と消えるか、落ちぶれるか、予想がつかないのだ。我々は公の企業であり、前進し続けなければ行けない。ポケモンに匹敵するプロパティーを五つは持つべきだろう。さらにビジネスを押し進める努力を続けなければいけない」
グローバル市場によるチャンスとはいえ、この成功にはリスクを課すだけの値打ちがある。
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